仕事も育児も中途半端と感じる方へ|罪悪感を軽くする考え方

育児・家庭生活


仕事も育児も中途半端で罪悪感を抱えていませんか?「良い親」「良い社員」の完璧を手放し、心を軽くする5つの考え方をご紹介します。実践的なマインドセットで、あなたらしい両立のカタチを見つけてみましょう。

はじめに:「どちらも中途半端」という苦しみ

朝、子どもを保育園に送りながら「もっと一緒にいたい」と思い、夕方、仕事を切り上げて帰宅する際には「チームに迷惑をかけているのではないか」と罪悪感にかられる。

そして夜、疲れ果てた自分を見つめながら「私は親としても、社会人としても中途半端なのでは」という罪悪感に襲われる——。

もしあなたがこんな気持ちを抱えているなら、それは決してあなただけではありません。働きながら子育てをする親の多くが、この「中途半端感」と「罪悪感」に悩んでいます。日本経済新聞の調査によれば、働く母親の多くが「マミーギルト」と呼ばれる罪悪感を抱えており、これは心理学でも注目されるテーマとなっています。

今日は、その罪悪感の正体を理解し、少しでも心を軽くするための考え方をお伝えします。

罪悪感の正体:「完璧な親」という幻想

なぜ私たちは「中途半端」と感じるのか

心理学では、罪悪感は「こうあるべき」「こうしなければならない」という自分の中のルールを破ったときに生まれると説明されています。つまり、あなたが苦しいのは「良い親は子どもとたっぷり時間を過ごすべき」「良い社員は仕事に全力を尽くすべき」という理想像を持っているからです。

しかし、冷静に考えてみてください。

一日24時間という限られた時間の中で、仕事も育児も家事も完璧にこなすことは、物理的に難しいと思います。

ワーママ向けメディアの調査では、多くの働く親が「全部完璧にやろうとして、全部中途半端になってしまう」という悩みを抱えていることが明らかになっています。この「完璧主義」こそが、私たちを苦しめる最大の原因となっています。

「6割主義」という新しい基準

公認心理師の吉田美智子さんは、「悪いところばかり見えてしまうときは、意識して良いところに目を向けるように」とアドバイスしています。

完璧を目指すのではなく、「家事も育児も仕事も6割でOK」という考え方を取り入れてみましょう。実際に、多くのワーキングペアレントがこのマインドセットを実践することで、心の負担が大きく軽減されたと報告しています。

6割で良いのです。残りの4割は、あなた自身の心の余裕や、予期せぬトラブルへの対応力として残しておきましょう。

罪悪感を軽くする5つの考え方

1. 「中途半端」ではなく「バランスを取っている」と捉え直す

言葉の持つ力は大きいものです。「中途半端」という言葉は、どこか否定的で自分を責める響きがあります。

しかし、視点を変えれば、あなたは「複数の大切なことのバランスを取っている」だけなのです。仕事にも、育児にも、自分自身にも、限られた時間とエネルギーを配分している——それは中途半端ではなく、とても賢明な生き方です。

ハーバード・ビジネス・レビューの記事でも、働く母親が罪悪感から解放されるためには、「自分の状況を肯定的に捉え直すこと」が重要だと指摘されています。

2. 「完璧な親」は存在しないと認める

SNSを見ると、料理も育児も仕事も完璧にこなしているように見える人がいるかもしれません。でも、それは切り取られた一瞬の姿に過ぎません。

ワーキングペアレント向けの情報サイトによれば、仕事と育児の両立に成功している親たちも、日々試行錯誤を繰り返しながら「自分なりの形」を見つけているのです。

他人と比較するのではなく、「我が家なりの幸せの形」を大切にしてみましょう。

3. 子どもは「完璧な親」を求めていない

私たちは「良い親でありたい」と願うあまり、子どもが何を本当に必要としているのかを見失いがちです。

子どもが本当に求めているのは、完璧な食事でも整った部屋でもありません。笑顔で「おかえり」と言ってくれる親の存在、そして「あなたを大切に思っている」という愛情なのです。

たとえ一緒にいる時間が短くても、その時間を心から楽しむこと。疲れていても「今日はどんな日だった?」と聞いてあげること。それだけで、子どもは十分に愛されていると感じるものです。

4. 働くことは「罪」ではなく「子どもへのギフト」

「働くことで子どもとの時間が減っている」という罪悪感を抱く人は多いですが、視点を変えてみましょう。

働くことであなたは:

  • 経済的な安定を家庭に提供している
  • 自分の成長を続けている姿を子どもに見せている
  • 社会とのつながりを維持し、多様な価値観を家庭に持ち帰っている

ワー育.jpの調査では、保育園に預けられた子どもたちが社会性を学び、多様な経験を得ていることが示されています。あなたが働くことは、子どもの成長にとってもプラスの影響を与えているのです。

5. 自分のための時間に罪悪感を持たない

「自分の時間を持つことは自己中心的だ」と感じていませんか?

しかし、心理学では「セルフケア」の重要性が繰り返し強調されています。自分自身が心身ともに健康でなければ、子どもにも仕事にも良い影響を与えることはできません。

あなた自身が満たされることは、家族全員の幸せにつながります。

月に一度でも、週に一度でも、自分だけの時間を持つことを「罪」ではなく「必要なメンテナンス」と考えてみてください。

実践:今日から始められる3つのこと

1. 「今日の良かったこと」を3つ書いてみる

寝る前に、その日あった良いことを3つ書いてみましょう。「子どもが笑った」「仕事でほめられた」「美味しいコーヒーを飲めた」など、どんな小さなことでも構いません。

これを続けることで、自然と「良いところ」に目が向くようになります。

2. 「完璧でなくていい」を口癖にしてみる。

何かうまくいかなかったとき、自分を責める前に「完璧でなくていい」と口に出してみましょう。

言葉にすることで、心が少しずつ軽くなっていきます。

3. 誰かに相談する・共感してもらう

一人で抱え込まず、パートナーや友人、同じ境遇の人に気持ちを話してみましょう。

「私だけじゃない」と気づくこと、そして「頑張ってるね」と言ってもらえることが、大きな支えになります。

おわりに:「中途半端」は「バランス感覚」の証

仕事も育児も中途半端だと感じているあなたは、実はとてもバランス感覚に優れた人なのかもしれません。

どちらかに全力を注げば、もう一方が疎かになる。だからこそ、両方を大切にしようと試行錯誤している——それは決して「中途半端」ではなく、「どちらも諦めたくない」という強さの表れです。

完璧な親も、完璧な社員もいません。あるのは、毎日を精一杯生きている、あなた自身の姿だけです。

罪悪感を完全に消すことは難しいかもしれません。でも、少しずつ軽くしていくことはできます。

まずは、今日一日頑張った自分を認めてあげてください。